【最新版】国内修学旅行の実態まとめ(2023年度実施)│中学校編

2024年12月1日、公益財団法人日本修学旅行協会より「教育旅行年報データブック 2024」が発行され、2023年度に実施した全国修学旅行調査(中学校・高等学校)が公開されました。

本記事では、その中から、「2023年度実施の国内修学旅行の実態(中学校編)」についてまとめました。

2023年といえば、5月にコロナが5類に移行し、ほとんどの学校が修学旅行を無事実施することができた年であります。

行先や体験内容も制限がなくなりつつあった2023年度は、どのような変化があったのでしょうか?

2023年度実施の国内修学旅行のトピック

  • 1人当たりの旅行費用の平均が調査依頼初の70,000円越え
  • 旅行先TOP20に、“とある県”が初めてランクイン!
  • 「重点をおいた活動内容」国公立と私立のちがいとは

などなど…気になる項目が盛りだくさん!

下記、3つの項目に分けて、実態をまとめましたので、是非最後までご覧ください。

*引用元:教育旅行年報「データブック2024」│公益財団法人日本修学旅行協会

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調査概要について

■調査実施時期:2024年3月~4月

■調査校数と回答率:【表1】を参照

(1)修学旅行の旅行費用について

★1人当たりの修学旅行費用が調査開始以来初の70,000円超え!

(今回調査とコロナ前の2019年度と比較すると…5年間で総額は5,773円増!)

宿泊日数の平均はほぼ同数にもかかわらず、交通費(主にバス代)や宿泊費、体験活動費などがいずれも高くなっています。

その理由として、

  • 円安によるエネルギー価格の上昇や食材費等の物価高騰、人件費高騰
  • 見学だけでなく「体験活動」を取り入れる・または重視する学校の増加

などが挙げられます。

【費用内訳】前回調査(2022年度実施)との比較

・交通費:29,696円(+1,588円/構成比42.2%/+1.4ポイント)
・体験活動費:6.839円(+914円/構成比9.7%/+1.1ポイント)
・宿泊費:22,963円(-322円/構成比32.7%/-1.1 ポイント)

⇒宿泊費の減少は、前年度はコロナの影響により、「2泊を1泊に変更」または「海外から国内に変更した際にグレードの高い宿泊施設を利用した」というケースがあり、その反動と考えられます。

国公立/私立別の修学旅行費用の内訳と構成比

修学旅行費用の今後の推測

今回、総額の平均が70,000円を超え、家庭への負担が大きくなってきているが、今後も物価高を始め、バスや宿泊施設などの人手不足による費用の高騰などが予想され、修学旅行の費用負担が増えていくことが懸念されます。

そんな中、自治体や施設によっては、「教育旅行受け入れに関する補助金事業」を実施しているところも多くあり、より充実した修学旅行を目指して、学校や旅行会社を支援されています。

▼「タリフル」では、毎年全国の教育旅行に関する助成金情報まとめを掲載!

▼滋賀の自然体験施設が、独自の支援金事業を実施中!(2025年1月現在)

(2)修学旅行の行先について

●1:京都・奈良が不動の上位を独占!

1位京都/2位奈良と前回調査と同じ順位で、やはり不動の人気を誇っています。

特に京都は、前回20.1%から構成比が大きく増えていて、コロナ前(2018年度)の23.1%も上回っています。

その理由として、民泊を実施していた地域がコロナにより受入数を縮小したり、2023年5月5日の能登地方の地震の影響などで、東北や北陸などから関西へ方面変更されたことも要因として考えられます。

●2:前々回調査では圏外だった東京/千葉/大阪が上位に返り咲き!

前々回調査で、 コロナにより21位以下に順位を下げていた3県が、2018年度の順位に返り咲き!

コロナで感染者が多かった都市部を避けていた傾向から脱却し、行先がコロナ前に戻ったと言えるでしょう。

●3:「平和学習」でおなじみの広島/沖縄/長崎がやはり人気!

「平和学習」関連の施設・プログラムの多い地域がコロナ前と同様に上位にあり、「平和学習」への関心が高いことがうかがえます。

●4:コロナ禍で人気だった北海道/岩手/長野/石川などは順位を落とした

前々回より順位が下がっていて、コロナ感染予防のため近隣県や自県内で実施してきた地域が、旅行先をコロナ攝前の地域 に戻していることが読み取れます。

ただし、石川は2018年度は20位以内に入っていなかったものの上位20以内を継続中!

理由としては、金沢市内の班別自主研修が人気を継続していることが挙げられるでしょう。

●5:滋賀が今回初のランクイン!!★★★

いままでトップ20位以内に入っていなかった滋賀県が今回初のランクインとなった。

理由としては、関西への修学旅行は、京都&奈良の行程が主流であったが、見学だけではなく体験活動を重視する学校が増加傾向にあることから、自然体験・野外活動などの体験施設が豊富であり、琵琶湖ならではの「環境学習」ができる滋賀県が、京都と絡めて行程に組み込まれることが増えてきたことが挙げられます。

(3)重点をおいた体験活動について

●1:上位5位

・1位「遺跡・史跡、文化財、寺社等の見学」 59.6% (前回調查61.8%)
・2位「伝統的町並 みや建造物群保存地区の見学」 28.8% (前回調査31.9%)、
・4位「座禅、法話、写経等」13.1% (前回調査13.6%)
・5位「絵付け・焼き物・伝統工芸等」10.5% (前回調査16.5%)

⇒旅行先1位の京都、2位の奈良と関連のある活動が上位を占める結果となっている。

前回調査と比べて大きな順位の変動はなかったものの、各活動の実施率は下がっていることから、活動内容が学校によって分散化傾向にあることがわかります。

●2:3位

・3位「平和学習」(前回調査3位、前々回調査6位)

⇒上位にあるのは、旅行先の6位が広島、7位が沖縄、8位が 長崎である傾向を反映している。

コロナ禍前でも2~3位であったが、ウクライナ情勢等による平和学習への関心の高まりも相まって、上位に入ってきている。

●3:7~9位

・7位「職場訪問、職業体験、職業講話・工場見学など」 (前回調查13位)
・9位「伝統文化・伝統芸能、祭り体験」 (前回調查11位)
・9位 「ミュージカル・演劇等の鑑賞」(前回調査17位)

⇒コロナの5類移行により、感染予防措置のため工場見学や職場訪問を制限していた企業が受入れを再開したことや、ホールや室内での鑑賞の利用規制が緩和されたことにより、順位を上げている。

●4:11~15位

・11位「自然体験や野外活動体験」 (前回調查7位)
・12位「産業や産業遺産の見学」 (前回調查12位)
・13位 「震災学習、防災学習」(前回調査9位)
・14位「その他のスポーツ(ラフティング・カヌー・フィッシング等)」 (前回調查9位)
・15位「環境学習」 (前回調查14位)

⇒順位を下げている項目が多いが、すべて変わらず15位以内にはランクインしており、依然と人気が続いていることがうかがえる。

国公立と私立での重点を置いた体験活動内容のちがいは?

*件数の都合、国公立は全体のランキングとほとんど同じだが、私立はランキングがかなり異なっていることがうかがえる。

国公立

★いわゆる「キャリア学習」に関する活動内容が前回調査と比較して上位に!!

6位である「職場訪問、職業体験、職業講話・工場見学など」の活動内容が大きく順位を上げており、私立中学の結果と比較しても、かなり重視されていることがわかります。

▼その理由とは?「タリフル」のキャリア学習に関する記事からチェック

私立

★国公立とくらべて「自然体験や野外活動体験」「環境学習」が大人気!

自然・環境学習は、その旅行先ならではの環境保全や取り組みを学ぶことができると人気です。

また、学校現場ではなかなか教えることが難しい「SDGs」をテーマに、環境問題について学べる体験学習を取り入れたいという学校が増えてきています。

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SDGs達成に向けた環境づくりのために、地域の資源をどのように活用し社会に広めていくのか、大学生の素敵なアイデアから学びます。

 

※詳しくは公式HPの教育旅行ページをcheck!https://bsc-int.co.jp/nature/education

【まとめ】国内修学旅行の実態(2023年度実施)│中学校編

  • 1人当たりの旅行費用の平均が調査依頼初の70,000円越え
  • 旅行先TOP20に滋賀県が初のランクイン!京都と絡めた行程が人気に
  • 国公立では「キャリア学習」、私立では「自然体験活動」がさらに重視されている

いかがでしたでしょうか?

2023年度実施の修学旅行は、コロナが5類に移行した後に実施したものがほとんどであったため、従来のカタチに戻す学校もあれば、逆にコロナ禍だったからこそ、修学旅行に本当に必要な要素を考えたことにより新たな気づきが生まれ、従来とは行先や重視する体験活動が変化していった学校もあったように思います。

2025年度以降は、さらなる物価高騰や人手不足によるバス問題など、目下の課題は様々ありますが、コロナ禍を乗り越えられたように、生徒にとってより実りある教育旅行を目指して、各関係者で協力し合う必要があると感じました。

最後までお読みいただき、ありがとうございました♪