温暖な気候と海・山・川の自然に恵まれた和歌山県。
世界遺産「熊野古道」や「高野山」など、歴史と信仰が息づく文化資源に加え、全国有数の梅やみかんの産地としての一次産業体験、黒潮の恵みを活かした漁業体験など、子どもたちの五感を刺激する体験学習の宝庫です。
教育旅行においても、自然体験・環境学習・食育・SDGs学習など、多様なテーマで学べる施設が点在しており、「生きる力」を育む絶好の舞台といえます。
今回は、そんな和歌山県の魅力が詰まった見学・体験学習スポットを厳選して9か所ご紹介します!
目次
教育旅行先としての和歌山県──いま注目される3つの理由

その1:日高エリアへの教育旅行が急増中!
和歌山県中部の御坊市・美浜町・日高町・由良町・印南町・みなべ町・日高川町で構成される日高エリアでは、官民連携による誘致体制が整備され、体験型教育旅行の受入実績が急成長しています。
2023年度の受入は3,906名(うち海外から522名)と過去最高を更新し、2025年度は5,000名超も視野に入っているとのこと。
2021年には「御坊日高教育旅行誘致協議会」と民間団体「紀州体験交流ゆめ倶楽部」が設立され、ワンストップ窓口での効率的な企画・運営が可能に。
このエリアの教育旅行は、関西圏はもちろん、遠方の関東エリアからの参加も増加傾向にあり、遠方移動のハードルよりも“深い体験”が選ばれている印象です!
*参照元:minabe-kanko.jp+13ryoko-net.co.jp+13asahi.com+13。
その2:万博(大阪・関西万博)参加への支援制度拡充
和歌山県は、2025年大阪・関西万博への教育旅行参加を促進するため、小中学校・特別支援学校(小学~中学部)を対象に、万博入場券とバス費用の一部を補助する支援制度をスタートさせました。
これにより、参加に躊躇しがちだった遠方エリアの学校のハードルも下がり、実際に55%の学校が参加意向を表明する結果となっています 。
*参照元:https://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/060400/d00217392.html
その3:みなべ町・宿泊補助でお得に教育旅行◎
和歌山県みなべ町では、町外からの教育旅行(修学旅行や体験学習)を対象に、町内での宿泊に対し補助金を交付しています。
事業名 | みなべ町教育旅行誘致促進事業補助金 |
対象事業 | ◎みなべ町内の宿泊施設に1泊以上宿泊すること ◎一団体10人以上(引率者を含む。)であること ※ただし、合宿の引率者については、最大3人とする。 |
助成対象者 | ◎幼稚園を除く学校の教育旅行(修学旅行やスポーツ合宿、文化合宿等) ※勉強合宿、林間学校、臨海学校は除きます ※学校公認であれば大学等のサークルも対象 |
実施対象期間 | 令和7年4月1日~令和8年3月31日まで |
助成額など | 1名1泊あたり1,000円(上限 1団体 400,000円) |
申請受付期間 | 教育旅行実施日の30日前まで |
詳細ページ | https://www.town.minabe.lg.jp/ume_kanko/02/04/2016080100019.html |

和歌山県で教育旅行におすすめの見学・体験スポット9選

和歌山県には、自然・歴史・食文化など、地域ごとの魅力を活かした体験学習施設が多数あります。
本記事では、県内を「紀北・紀中・紀南」の3つのエリアに分け、教育旅行に最適な見学・体験学習スポットを各地域ごとに計9か所ピックアップしてご紹介します。
記載の料金や人数などは予告なく変わる可能性がございます。詳細は各施設へお問い合わせください。
和歌山県・紀北エリアで教育旅行におすすめの見学・体験スポット3選

紀北エリアとは、県の北部で和歌山市や橋本市などが含まれます。
県庁所在地があり、交通アクセスが良く、和歌山マリーナシティや黒潮市場(和歌山市)など、観光でも有名なスポットが多く点在しています。
まず、紀北エリアでおすすめの見学・体験学習スポットを3つご紹介します。
高野山
山上盆地に広がる「高野山」は世界遺産に登録されており、弘法大師空海が開いた日本を代表する真言密教の聖地です。
1200年にわたって信仰の聖地として継承され、世界中の人々を魅了する高野山は、世界遺産にも登録されており、日本の宗教文化・精神性に触れられる貴重な学びの場です。
金剛峯寺、壇上伽藍、奥之院などを巡ることで、日本の宗教文化と精神性を学ぶことができます。
宿坊体験では、寺院ならではの凛とした空気の中、精進料理や翌朝の朝勤行などの貴重な体験も味わえます。
- 総本山 金剛峯寺(こんごうぶじ):真言宗の総本山であり、高野山の中心的存在。
- 壇上伽藍(だんじょうがらん):空海(弘法大師)が高野山を開いた最初の場所。密教の世界観を体感できる。
- 奥之院(おくのいん):約2kmの参道には歴史上の武将や著名人の墓碑が並び、戦国・近代史との接点も豊富。
▼さらに、高尾山ならではの体験として、下記が挙げられます。
林業体験/草木染め│高野町
高野山寺領森林組合が提供する、高野山特有の体験。
林業体験では、高野山特有の自然に触れながら、林業の仕事の一部を体験することができます。
また、高野山で育つ木々や植物を使って、手ぬぐいやトートバックに草木染めをする体験も!
植物が持つ自然の色や、どんな作品に仕上がるかワクワクしながら体験することができます♪
体験施設名 | 高野山(提供:高野山寺領森林組合) |
期間 | ①林業体験:通年 ②草木染め:4~11月 |
定員 | ①林業体験:60名 ②草木染め:60名 |
所要時間 | ①林業体験:2時間 ②草木染め:3時間 |
住所(組合所在地) | 和歌山県伊都郡高野町高野山45-17 |
組合HP | https://www.forest-koya.com/ |
くだもの狩り│かつらぎ町
和歌山は、「フルーツ王国わかやま」とも呼ばれる果物の一大産地。
全国的に知られるミカンや梅だけでなく、柿や桃、ぶどう、イチゴなど、さまざまな種類のフルーツが生産されています。
高野山麓エリアは、一級河川・紀の川に沿った山の斜面に、広大な農園が広がっています。
高野山麓ツーリズムビューローでは、季節に合わせた旬のフルーツの体験プログラムを提供しています。
体験名 | くだもの狩り |
期間 | ①みかん狩り:8月下旬~11月下旬 ②ブドウ狩り:8月~9月下旬 ③紀州の梅収穫体験:6月 他 |
定員 | ①みかん狩り:120名 ②ブドウ狩り:80名 ③紀州の梅収穫体験:40名 |
時間 | すべて約1時間 |
お問い合わせ先 | (一社)高野山麓ツーリズムビューロー 住所:和歌山県橋本市高野口町名倉288 橋本市地場産業振興センター 2階(TEL:0736-26-7988 ) |
運営会社HP | https://koya36.com/ |
「ワカジビ」和歌の浦で地引網体験│和歌山市
日本遺産に認定された和歌の浦の砂浜で、伝統的な漁法である地引網を体験。
カンパチやアジ、タコなどの獲った活魚は、お刺身やBBQで食べれるんだとか!
みんなで力をあわせて獲った魚の美味しさは和歌山ならではの味です。
体験施設名 | 「ワカジビ」和歌の浦で地引き網体験 |
期間 | 3~11月末 |
定員 | 20名~ *最大人数はご相談ください |
時間 | ① 10:00~(地引き網体験30分+BBQ60分) ② 11:30~(地引き網体験30分+BBQ60分) |
料金 | 団体一組さま:70,000円(税別) ※旅行会社や学校法人の方は別途料金設定がございます。 詳しくはお問い合わせください。 |
運営会社HP | https://wakanourabay.com/wakajibi/ |
和歌山県・紀中エリアでおすすめの見学・体験学習スポット3選

紀中エリアとは、県の中央部、岩出市、海南市、有田市などを含み、紀ノ川流域の農業や伝統産業が盛んな地域です。
歴史的な神社や文化施設も多く、食文化体験も魅力です。
次に、紀中エリアでおすすめの見学・体験学習スポットを3つご紹介します。
マイ醤油づくり体験│湯浅町
和歌山県湯浅町は、鎌倉時代に金山寺味噌から偶然生まれた「溜まり」が醤油のルーツとなり、江戸時代には全国に広がる醤油産業の中心地として栄えました。
今日でも伝統的な製法を守り、「日本遺産」にも認定される醤油発祥の地です。
湯浅醤油(有)では、醤油発祥の地である湯浅町で、日本の伝統的な醤油づくりを学ぶことができる体験プログラムを提供しています。
特に「マイ醤油づくり体験」は、食育や自由研究にも最適な内容となっています。
体験名 | マイ醬油づくり体験(湯浅醤油) |
所要時間 | 約1時間 ・工場見学(約20分) ・櫂入れ(かいいれ)体験(約10分) ・ペットボトル醤油づくり体験(約20分) |
定員 | 40名 *40名以上の見学希望の場合はグループ分けをして案内可能 |
料金 | 1,600円 *工場見学+櫂入れ体験+ペットボトル醤油づくり体験 |
住所 | 和歌山県有田郡湯浅町湯浅1464 |
施設HP | https://www.yuasasyouyu.co.jp/ |
紀州梅干館│みなべ町
紀州梅干館は、和歌山県の特産品である梅について深く学べる体験型施設です。
教育旅行では、日本の食文化や地域産業を体験的に学ぶことができるプログラムが提供されています。
また、梅干し工場が併設されており、実際に製造ラインを見学できるほか、様々な梅製品の販売、カフェなども楽しめます。
体験施設名 | 紀州梅干館 |
体験プログラム/所要時間 | ①梅干し作り体験:約30分 ②梅ジュース作り体験:約30分 |
定員 | どちらも100名まで |
料金 | どちらも1,100円(税込) |
住所 | 和歌山県日高郡みなべ町山内1339 |
施設HP | http://www.umekan.com/ |
ビーチコーミング&シーグラスボールペン作り│美浜町
紀州体験交流ゆめ倶楽部が提供する教育旅行向けの「ビーチコーミング」体験は、単に海岸で漂着物を拾うだけでなく、環境問題への意識を高めるプログラムとして人気があります。
プログラムのねらい・教育的効果
- 環境問題への理解: 海岸に打ち上げられたプラスチックごみを実際に目にし、手で触れることで、海洋汚染問題の深刻さを肌で感じ、具体的な問題意識を持つことができます。
- SDGsへの貢献: 環境問題への理解を深めることは、持続可能な開発目標(SDGs)の目標14「海の豊かさを守ろう」などに直接的に貢献する学びとなります。
- 創造性・発想力: 拾った素材を使ってものづくりをすることで、自由な発想力や表現力を育むことができます。
体験内容 | ・ビーチコーミング ・海洋プラスチックごみ問題に関する講義 ・シーグラスボールペン作成 |
所要時間 | 約2時間 |
定員 | 40人 *40人以上の場合も応相談 |
料金 | 1名あたり 3,000円 |
問い合わせ先 | 一般社団法人 紀州体験交流ゆめ倶楽部 和歌山県日高郡日高川町和佐1030番地90 南山スポーツ公園 若者センター2F (TEL: 0738-70-4333) |
公式HP | https://kishutaiken.com/ |
和歌山県・紀南エリアでおすすめの見学・体験学習スポット3選

紀南エリアは、白浜町、田辺市、串本町などを含む、和歌山県の南部。
温暖な気候と豊かな自然が魅力で、海や山のアクティビティに適したエリアです。
最後に、紀南エリアでおすすめの見学・体験学習スポットを3つご紹介します。
世界遺産「熊野古道」
世界遺産「熊野古道」は、教育旅行にとって歴史、文化、自然、そして精神性を学ぶことができる貴重な場所です。
和歌山県、三重県、奈良県にまたがる広大な地域ですが、教育旅行では主に和歌山県内の「中辺路(なかへち)」ルートや、三重県内の「伊勢路(いせじ)」ルートが選択肢となります。
教育旅行で利用する際は、熊野古道の深い歴史や文化、自然を学ぶ上でも「語り部ガイドの活用」がおすすめ★
語り部ガイドの料金は、団体やコースによって異なりますが、概ね1グループ(ガイド1名につき20名程度)あたり8,000円〜15,000円程度が目安です。
各地域に複数のガイド団体があるので、一度お問い合わせください!
また、関連施設での学習・体験としては、下記が挙げられます。
体験施設名 | 南紀熊野ジオパークセンター |
概要 | ・プロジェクションマッピング ・体験装置 ・映像学習 ・ジオパークガイドによる解説: 他 |
定員 | 最大100名まで対応可能 |
入館料 | 無料 |
住所 | 和歌山県東牟婁郡串本町潮岬2838-3 |
施設HP | https://nankikumanogeo.jp/geopark_center/ |
アドベンチャーワールド
和歌山県白浜町にあるアドベンチャーワールドは、「人と動物と自然とのふれあい」をテーマにした、動物園・水族館・遊園地が一体となった人気のテーマパークです。
教育旅行においては、学校グループ(未就学~中学校)向けに、動物たちを学習パートナーとした体験学習プログラムを提供しています。
パーク内プログラムの例
具体的なプログラム内容は、学校のニーズや動物の状況によって異なりますが、以下のようなものが考えられます。
- バックヤードツアー動物の飼育施設や、餌の準備風景などの見学を通じて、飼育員の仕事や動物のケアについて学ぶ
- 動物への給餌体験:飼育員の指導のもと、餌を与える体験を通じて、動物との触れ合いや生態について学ぶ
- レクチャー・ワークショップ:専門のスタッフから、動物の生態、保全活動、環境問題などについて講義形式で学ぶ
体験施設名 | アドベンチャーワールド |
料金 | ◎入園料 *学校グループ向けの特別料金 ・高校生: 3,870円 ・中学生: 3,870円 ・小学生: 2,970円 ◎体験学習プログラム料金 ・パーク内プログラム: 5,000円~10,000円/クラス ・オンラインプログラム: 10,000円/校 |
所要時間 | ・パーク内プログラム: 20~60分 ・オンラインプログラム: 45~60分(1限) |
住所 | 和歌山県西牟婁郡白浜町堅田2399番地 |
参照ページ | https://www.aws-s.com/ |
本マグロ養殖体験│串本町
和歌山県串本町は、世界で初めてクロマグロの完全養殖に成功した「養殖マグロの聖地」として知られています。
教育旅行で本マグロの養殖体験をすることは、海の産業や食育、そして科学技術の発展について深く学ぶことができる貴重な機会となるでしょう。
体験プログラム名 | 本マグロ養殖体験 |
料金 | ◎体験のみ ・大人(中学生以上):5,500円 ・小学生以上:3,300円 ◎海鮮丼付き ・ 大人(中学生以上):7,700円 ・小学生以上:5,500円 ※団体割引が適用される場合もありますので、問い合わせ時に確認してください。 |
定員 | 2人~40人 *団体は要相談 |
所要時間 | 約1時間半~2時間 *餌やり体験、レクチャー、移動時間、試食時間を含む |
問い合わせ先 | 串本町教育旅行誘致協議会(TEL: 0735-67-7311) |
公式HP | http://www.guide-kushimoto.jp/ |
滋賀・びわ湖での自然体験学習もおすすめです!

和歌山県には魅力的な自然や文化資源を活かした体験施設が多くありますが、近隣の県でも教育旅行のフィールドとして注目されている事例があります。
その一つが、滋賀県・大津市にあるBSCウォータースポーツセンターの「びわ湖自然体験学習」です。
日本一の湖・びわ湖を舞台に、カヌーやヨット、SUPなどのウォータースポーツを体験しながら、チームワークや自立心、自然への理解を深める教育プログラムが展開されています。
近年では「探究学習」や「SDGs」をテーマにしたプログラムも人気で、多くの学校がリピートで訪れる実績があります。
和歌山の海での体験学習もおすすめですが、琵琶湖でのウォータースポーツも是非ご検討ください★
まとめ
和歌山県には、熊野古道や高野山をはじめとする世界遺産、豊かな海や山の自然、伝統ある食文化など、多彩な学びの資源がそろっています。
各地域でしかできない本物の体験を通じて、生徒たちの興味関心や主体性を引き出す教育旅行が実現できます。
今回ご紹介した体験学習で、生徒1人1人にとって実りある修学旅行になるよう心から願っています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。