公益社団法人全国修学旅行研究協会では、毎年「関東地区」「東海地区」「近畿地区」を対象に、『修学旅行の実施状況調査』を実施されています。
目次
2023(令和5年)度の修学旅行の実施調査概要
★参照元:調査・研究報告|修学旅行ドットコム (shugakuryoko.com)
調査対象 | ★以下の三地区の公立中学校を対象 ・関東地区5県(茨城・栃木・群馬・埼玉・千葉) ・東海地区3県(愛知・三重・岐阜)※愛知県は名古屋市を除く ・近畿地区2府3県(大阪・兵庫・京都・滋賀・奈良) |
調査時期 | 2023(令和5)年7月~2023(令和5)年12月 ※2023年12月以降に実施予定の学校については回答時点での予定を調査 |
調査校数 | 3,069校(関東:1,296校/東海:625校/近畿:1,148校) |
回答校数(回答率) | 2,974校(96.9%) |
【関西編】他校へ紹介したい修学旅行の行き先3選
今回は、2023(令和5年)度の修学旅行の実施調査より、「他校に紹介したい取り組み」という質問項目に着目をしました!
全国の先生が選ぶ、修学旅行でのおすすめの取り組みとは一体どんなものなのでしょうか?
本記事では、「他校に紹介したい取り組み」の中から、関西方面でおすすめとして挙げられた行き先・取り組みの中から3つ抜粋しまとめましたので、是非最後までご覧ください♪
1.京都市「エコ修学旅行」│京都府
京都市では、修学旅行で京都市内に宿泊し、環境にやさしい「京都エコ修学旅行」の4つの取り組み*から2つ以上を宣言し、実践した学校に参加記念品を渡すという企画をされています!
▽「京都エコ修学旅行」4つの取り組み
- メニティグッズ(歯ブラシやくし等)の持参
- エコバッグの携帯
- マイボトル(水筒)の持参
- 食事の食べ残しゼロ
また、4つの取組以外に、学校が設定した独自のエコ活動を、修学旅行中に実践していただく「エコ・アクション+1」の参加校も募集するなど、学校によっては、先進的な取り組みや、ユニークな活動などが実践されています♪
★参照サイト:https://kyoto-kogomi.net/projects/ecoshuugakuryokou-2/
京都修学旅行でのエコ活動を行ったある学校では、事後学習(活動報告)として、新聞の記事に「私のエコ活動」と称して新聞作成を行ったところもあったのだとか…!
2.河村能楽堂│京都府
河村能楽堂は、京都御所の近く、京都のメインストリートである烏丸通に面しています。
内部には350人収容可能な本格的能舞台があり、修学旅行生や外国人、一般人等々、能を見たことがない人や若い世代を中心に、毎年たくさんの人が訪れています。
「能楽おもしろ講座」では、能の分かりやすい入門編として、修学旅行や課外授業などの学校行事等を、お手軽な料金設定にて受入されています♪
▽先生の感想
河村能楽堂のおもしろ能楽講座は生徒にもとても好評であった。
とっつきづらい能というものを、若い世代にも大変わかりやすく、興味を引きつけるような説明していただいた。
★詳細はコチラ:能楽おもしろ講座 | 河村能舞台 (omosiro-noh-taiken.kyoto.jp)
3.人と防災未来センター│兵庫県
人と防災未来センターでは、阪神・淡路大震災で起こったことや、子どもたちに伝えなければならないことを見ていただくことになっています。
そして、二度と再びこのような災害が起こらないように、いろいろな知恵や知識をわかりやすく発信して、災害に強いまちづくり、地域づくり、そして私たち自身の準備に役立つ取り組みを行います。
体験施設名 | 人と防災未来センター |
入館料 | 小・中・高校生は無料
※大人は入館料が必要です ※引率教員、同行の旅行会社社員は無料で入館いただけます |
定員(最少催行人数) | 20名~ |
所要時間 | 60分~120分(体験コースにより異なります) |
住所 | 兵庫県神戸市中央区脇浜海岸通1-5-2 |
施設HP | 人と防災未来センター (dri.ne.jp) |
【関西編】他校へ紹介したい修学旅行での班別行動3選
「他校に紹介したい取り組み」の中には、班別自主研修の際のアイデアが多くありました♪
本記事では、その中から特に素敵だと感じたものを抜粋しまとめました♪
1.海外の観光客へインタビュー
内容
各班別行動の内容にて、海外の方へのインタビューという外国語活動を取り入れた。
どの生徒も、「なぜ日本に観光に来たのか」「なぜ京都を選んだのか」など、海外の方の思考を聞きながら、外国語学習をする機会を取り入れた。
⇒日本は他国と比べて、自分の国の文化に対する知識が非常に少ないと言われています。
この取り組みは、外国語学習につながるだけではなく、海外の方から見た日本の魅力を学ぶことは、自分の住む国の文化に詳しくなるきっかけにもなりそうですね!
2.「地域活性化」について考えるフィールドワーク
内容
総合学習で、「京都のように観光客を呼び込み、地域を活性化させるにはどうするか」についてフィールドワークを行い、英語科で外国人向けのプレゼン資料の作成を行い、京都市役所の職員にプレゼンした。
⇒日本が誇る観光地「京都」をモデルにして、「地域活性化」について考えるという面白い取り組みです!
フィールドワークにて情報収集などのインプットをしたあと、現地に詳しい市役所職員にプレゼン(しかも英語で)するという、アウトプットとして素晴らしい取り組みをされています。
京都をモデルに「地域活性化」について考えることで、自分の地域にも活かせるアイデアが見つかりそうなのも良いですよね♪
3.行き先や見学地は、生徒自らが設定!
内容
・1日目:自分の行きたいコースごとのグループ単位に分かれて見学をした。
(あべのハルカス、吹田スタジアム、道頓堀、法隆寺、平等院、琵琶湖)
・2日目(班別行動):事前に行動班ごとに旅のテーマ(国宝を極める、スイーツを極める、アニメ聖地巡 礼など)を決め、見学地を設定。
⇒「探究学習」から、行先もテーマや目的も、先生から与えられたものではなく“自ら設定する”という傾向が非常に強くなっています。
特に高等学校での修学旅行は、内容や方面決定の際には、生徒の意見を重要視したいという意見も多くみられました。
また、京都方面への修学旅行の課題として、インバウンドの観光客が増える中で、観光や見学に支障をきたしている「オーバーツーリズム問題」も挙げられている。
その解決策として、本取り組みのような、大阪・奈良・滋賀(琵琶湖)のコース別で分散させながら、より自由度の高い体験が求められつつある。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
ユニークな取り組みやマネしたい取り組みなどをまとめましたが、先生や旅行会社のご担当者の発想やアイデアがとても素敵だなと感じました。
修学旅行のあり方について、コロナ禍を経て、テーマパークなど単に生徒に受けのよいコースに行って「よい思い出づくりができた」などという価値判断ではなく、修学旅行の目的や意義を改めて問い直す傾向がどんどん加速しているように思います。
修学旅行は日本の独特の教育文化であり、ほとんどの日本人が経験する日本人の「旅の原点」といっても過言ではありません。
同時に、学校単独では実施できない教育活動(学校行事)が修学旅行でもあることから、旅行関連事業者の人たちと一体となって、より充実した修学旅行を創造していきたいものです。