【2024】第8回「ジャパン・ツーリズム・アワード」受賞取組決定!│教育旅行にぴったりの取り組みをピックアップ

公益社団法人日本観光振興協会、一般社団法人日本旅行業協会(JATA)、日本政府観光局(JNTO)は、2024 年 9 月 26 日(木)から 9 月 29 日(日)の 4 日間、東京ビッグサイトで開催する「ツーリズム EXPO ジャパン 2024」の開催に先立ち第 8 回「ジャパン・ツーリズム・アワード」(審査委員⾧:本保芳明 国連世界観光機関(UN Tourism)駐日事務所代表)の各賞を決定しました。

「ジャパン・ツーリズム・アワード」とは?

「旅のチカラ」の再生と持続可能性の確保につながる組織・企業・団体の取組を参考となる事例として表彰し、ツーリズムEXPOジャパンとの連携により、優れた受賞取組をモデルケースとして広く世の中に知らしめ、さらなるツーリズムの発展に貢献していくことを目的とします。

*参照:https://www.t-expo.jp/biz/program/award

審査のポイントについて

(1)革新性
・取組自体がイノベーションを促進し、新しいビジネスモデルとして新たな市場を開拓しているか
・観光DXの推進による旅行者の利便性向上や観光産業及び地域産業の生産性向上等へ貢献しているか
・イノベーションの取組が地域経済の活性化及び地域・産業等の持続可能性の向上に新たな地平や展開をもたらすものであるか

(2)事業性
・観光地・観光産業の高付加価値化等の取組による「稼ぐ地域」の実現や観光産業の収益力向上等へ貢献しているか
・収益・財源確保が見込まれ、利用者の満足度が高い等、市場に受け入れられている取組であるか
・持続可能な観光の推進に向けた取組の継続性や実効性を高めるものであるか
※取扱人数、来訪者数、取扱件数、実施回数、観光消費額、経済効果等の具体的な実績、見込み、目標を明記すること

(3)持続可能な観光への貢献
・持続的に取組を実施していくことが可能であるか
・環境への配慮、歴史・文化遺産等の地域資源の活用・保全、人材育成、ユニバーサルデザイン、ダイバーシティ、リスクマネジメントなど持続可能な社会の実現に貢献しているか
・強靭さ(レジリエンス)を備えた取組であるか

(4)地域活性化への貢献
・多様なステークホルダーと連携し、地域社会の発展に貢献した取組であるか

「ジャパン・ツーリズム・アワード」の受賞取り組みが決定!

今回の応募件数は 119 件(国内・訪日領域 105 件、海外領域 14 件)で、国内外から数多くの優れた取組の応募がありました。

【国土交通大臣賞】は、愛知県の取組「愛知県『休み方改革』プロジェクト」が、【経済産業大臣賞】は株式会社ナビタイムジャパンの取組「訪日外国人向け観光ナビゲーションサービス『Japan Travel by NAVITIME』(インバウンド)」が受賞しました。

そのほか、観光庁⾧官賞は 3 団体、実行委員⾧賞は 1 団体、UNTourism特別賞は 2 団体、審査員特別賞は 16 団体、学生が選ぶジャパン・ツーリズム・アワードは 1 団体が受賞し、入賞取組として 13 団体が選ばれました。

「教育旅行」にぴったりな受賞取り組みをピックアップ!

本記事では、受賞された取り組みの中から「教育旅行」にぴったりの取り組みを8選ピックアップしました!

是非、最後まで目を通していただけますと幸いです。

1.未来を育む学びのツーリズム│南三陸町観光協会

南三陸町観光協会は、学生団体の修学旅行、企業等の研修旅行等のワンストップ窓口を有し、学び、体験、宿泊等のコンテンツを専門部署が顧客ニーズに合わせながら手配調整をしています。

教育フィールドとして、「楽しさの中に学びが、体験の中に未来が 自然の脅威・恵み・不思議を伝え、自然と共に生きる力を育む」をテーマにした中学高校・大学向けの教育旅行を年間100校以上受け入れしております。

詳しい取り組み内容

防災、震災学習プログラムを観光コンテンツとして提供!

津波により町並みが一変した南三陸町。震災の風化防止を目的とした「防災・震災学習プログラム」を造成し続け、個人でも予約可能な「まちあるき語り部」や団体向けのバスツアー等を含めた「語り部による学びのプログラム」を観光コンテンツとして提供しています。

また2022年10月に開館した東日本大震災伝承施設「南三陸311メモリアル」を運営し、証言映像を通して災害を自分ごととして捉えるきっかけを与えるラーニングプログラムを提供しています。

*参照:語り部による学びのプログラム:https://www.m-kankou.jp/lp/story-teller/

2022年10月オープン!「南三陸311メモリアル」ってどんなところ?

選考ポイント

震災直後から⾧い期間にわたり、被災地域が主体となり公益事業と収益事業の両輪で、持続できる方法で取組を続けている所を評価した。

 

実際に被災地に訪れて体感することでより深く学ぶことができ、旅行者と共に持続的な観光地域づくりを行ない、震災を風化させず、防災・減災について考える機会を提供している点も素晴らしい。

2.おきなわエシカルトラベル│沖縄観光コンベンションビューロー

沖縄県・一般財団法人沖縄観光コンベンションビューロー(会長:下地芳郎、以下OCVB)は、「人や社会、環境などに配慮した優しい観光先進地・沖縄」を目指し、人や環境に配慮した新しい時代の旅のかたちとして「おきなわエシカルトラベル」を推進しています。

沖縄県では第6次沖縄県観光振興基本計画(令和4年7月策定)の中で「世界から選ばれる持続可能な観光地」を沖縄が目指す将来像として示しており、SDGs への貢献と持続可能な観光(サステナブル・ツーリズム)の推進に向けて「おきなわエシカルトラベル」を提案するプロモーションを展開。

☑エシカルとは?:倫理的、道徳的といった意味の言葉で、人や環境、社会などに配慮した行動をしようという概念のこと。

詳しい取り組み内容

エシカルな県内の様々な施設を旅のテーマごとに紹介!

エシカルトラベルオキナワは、「エシカル」の概念を取り入れた観光の考え方で、沖縄県と沖縄観光コンベンションビューロー(以下、OCVB)によって2021年に開始。

これは沖縄の自然や伝統文化、産業に触れられる観光コンテンツを通して、観光客が地域や県民の思いをより深く知り、それにより住民の暮らしや自然環境などに配慮するきっかけとなることを目的とした、新しい旅のかたちです。

現在、沖縄県公式の観光情報WEBサイト「おきなわ物語」では、多数のコンテンツを特集中。自然や伝統文化、産業に触れられるさまざまなコンテンツがありますが、実際にどんな体験ができるのか、4つのコンテンツをピックアップしてご紹介します。

*参照:おきなわみらいへつなぐ旅 エシカルトラベル 特設WEBサイト
https://www.okinawastory.jp/feature/ethical_travel

選考のポイント

旅行者数などに重きを置いた誘客施策ではなく、「世界から選ばれる持続可能な観光地」を将来像として質の高い観 光を求めた施策を展開している点を評価した。

沖縄の自然環境・伝統・産業を尊重し、旅行者と県民の相互満足 度向上を目指している事や参加事業者が着実に増えている事から今後の発展も期待できる。

3.エネIKU ~マチまるごとエネルギーパーク~│九電産業株式会社旅行部

人々の生活に欠かせないエネルギー(生活の源・元気のもと)の存在と価値について楽しく学べる体験型イベントです。

子どもたちが持続可能な社会の実現のために、自分がどのように考え、どのように行動すべきかに気付く機会 となる内容です。

体験を通じて、子どもたちが”エネルギー“について様々な発見をし、好奇心・探求心を沸き立たせ、本イベントでエデュテイメント※1に基づき「楽しみながら学ぶ」ことにより、将来を担う子どもたちの世界観がより一層広がることを期待しています。

*参照:エネIKUポータルサイト (eneiku.jp)

☑エデュテイメントとは?:education(教育)とentertainment(娯楽)の2つの言葉を掛け合わせて造られた造語。

選考のポイント

観光×産業×教育×環境を組み合わせたプログラムは、特定の地域だけでなく、同じような資源を持っていながらも活用方法を見つけられていない地域にとって汎用性が高いと考えられる。

町全体をテーマパークに見立てている部分が、地域の活性化に非常に貢献できている。

 

持続可能な社会を実現させるための方法を考えて実行するだけでなく、子どもたちにも自ら考えてもらうことで、次世代を担う子どもたちの世界観が広がる点も素晴らしい。

4.世界農業遺産をはじめとする農山村資源を活用した「住んでよし訪れてよしの観光地域づくり」│一般社団法人そらの郷

その昔、徳島県の都市部に住む人々は、自分たちが住む場所よりも標高の高い当地のことを「そら」と呼びました。「そらの郷」は素朴で解放感のある当地の愛称です。

そらの郷は、四国の中央に位置する「にし阿波~剣山・吉野川観光圏」(美馬市・三好市・つるぎ町・東みよし町)にあります。にし阿波は、西日本第2の高峰「剣山」や「吉野川」に代表される自然、歴史文化、伝説や伝承、さらに独特の食文化、伝統芸能に彩られた、県内屈指の観光地域であると共に、素朴で温かみのある、古き良き暮らしが今もなお息づく地域です。

「一般社団法人そらの郷」は、観光庁認定「にし阿波~剣山・吉野川観光圏」の観光地域づくりプラットフォーム及び、「日本版DMO候補法人」として、官民連携で世界に通用する観光地域づくりを目指し、旅行商品の企画・開発・販売や、積極的なインバウンド誘致を展開しています。

農山漁村生活体験(農泊)は、1995年に一地域から始まった歴史と実績のある「そらの郷山里物語」体験型教育旅行の受入窓口等を担い、官民連携で運営しています。

*参照:にし阿波 体験型教育旅行そらの郷山里物語 (nishi-awa.jp)

選考のポイント

地元の高校生が作成した観光プランを実際に実行し、教育旅行やインバウンドを積極的に受け入れる事で、子供たちや外国人にも地域に興味を持たせることに繋がっている。

 

地域一体となって、観光客を増やす事で地域の維持・再生を図る事に取り組んでおり、効果も上がっている点を評価した。

5.流氷ウォークⓇ×地球の神秘を体感できるサステナブルツーリズム│SHINRA / 知床自然ガイドツアー株式会社

北海道のオホーツク沿岸に1月下旬頃から接岸する流氷。

海が氷に閉ざされ日本ではないような光景に様変わりする2月。
果てしなく続く流氷野は大陸まで続いているのでは?とロマンをかきたてます。

そんな白い月面のような非日常的空間を歩きたい!を叶えるツアーが「流氷ウォーク」。

オホーツク海を約1000㎞も季節風や海流とともに旅して南下した神秘的な流氷に触れたり乗ったりが、専門のガイドとともにドライスーツを着用することで可能に!

特に知床半島のウトロ周辺では最盛期には一面真っ白な大地のように海が氷で覆われます。
そんな北極圏のような現象や光景を体感するウトロならではのアクティビティです。

*参照:流氷ウォーク | シンラ(知床自然ガイドツアー 株式会社) (shinra.or.jp)

選考のポイント

世界で唯一「流氷の上を歩く」というそこでしか体感できない観光を観光客に分かりやすく打ち出し、地域観光産業か 5 ら地球規模の環境問題や SDGs まで考えられる素晴らしい取り組み。

 

冬季間の新しい観光が生れることで年間を通 して地域経済に貢献でき実績も増加している点も評価した。

6.わたしたちと服の関係性を見つめ直すスタディツアー│HIS×unisteps

一般社団法人unistepsは、国内外の服づくりの現場を訪ね、サステナブルファッションについて学ぶことのできるスタディツアーを開催している。

2013年4月にバングラデシュで起きた縫製工場が入居するビルの崩壊をきっかけに、ファッション産業の透明性を訴えるムーブメントが起きました。

衣服は、誰にとっても身近な存在だが、でき上がるまでのプロセスは意外と知られていない。1着の服ができ上がるまでの工程を現場で見て、聞いて、学ぶことで、これからの衣服の生産と消費のあり方を考え、サステナブルファッションの実践につなげていく機会にしてほしいという願いが込められている。

*参照:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000011.000101947.html

詳しい取り組み内容

国内は広島県、岡山県、国外はタイへのツアーを開催!

過去のツアー例

  • デニム生産の現場からファッション産業の透明性について学び考える旅(広島・岡山)

岡山県倉敷市のデニムブランド『ITONAMI』と共同で、デニム生産に携わる工場を見学する。

  • 服づくりの原料から縫製までをたどりファッション産業の透明性について学び考える旅(タイ)

この旅では、服の素材の一つであるテンセル™(※1)の生産工場をタイにもつ『レンチングファイバーズ』と共同で、4つの工場を見学し、1着の服ができるまでの工程を全般的に学ぶ。

※1TENCEL™およびテンセル™はLenzing AGの商標。

選考のポイント

持続可能な社会について考える上で身近な生活必需品である「衣服」に着目し、生産過程や手放された衣服の行 き着く先などを見学できるツアーを実施し、実体験してもらう事で自らの生活や消費について考え、サステナブルな選 択への一歩を踏み出すきっかけになる点を評価した。

7.筏流し文化の継承と観光産業への転換~小さな村の観光筏下り事業~│和歌山県北山村

全国で唯一残された筏流しの技術を林業から観光へと産業転換し、観光筏下りとして技術を継承そして保存し、独自に筏師の後継者育成事業も行う。

国立公園指定の切り立った北山渓の景色の中を水しぶきを浴びながら下る観光筏は大自然の中、伝統文化の歴史を感じられるアクティビティとして世界にも類をみない唯一無二の体験を提供しており近年は海外からの評価も高い事や、筏師の伝統技術を観光として活かす事で、雇用と技術の継承・育成につなげている事について評価されました。

詳しい取り組み内容

かつて林業が盛んだった北山川流域では切り出した木材を河川で筏にして流送しており、その歴史は約600年続いていた。しかし、近代になり木材搬送は道路整備によるトラック運送に代わり北山だけではなく全国の筏流しの文化は一度途絶えてしまいました。

しかし、切り立った険しい北山渓で筏流しをしていた北山村の筏師の技術はかつて日本一といわれておりその伝統技術を失ってはいけないと林業自体が衰退していく中でも、これからの村の新たな産業として筏の技術を観光資源に変え村の事業として昭和54年に観光筏下りとして再始動し、以来村の事業として筏師の雇用と育成を続け、現在では村だけではなく周辺地域の観光産業に寄与し続けている。

選考のポイント

日本一といわれる筏師の伝統技術を観光コンテンツとして活かす事で、雇用と技術の継承・育成につなげようというア イデアは興味深い。

 

海外からも伝統文化の歴史を感じられるアクティビティとして高く評価されている点も素晴らしい。

8.海を遊びながら、学んで、記憶するツアー「海遊記」│有限会社丸徳水産

地元の漁業者と漁船に乗り対馬の海が抱える様々な問題や、漁師の営み、自然を満喫し釣りまで出来る、学んで楽しんで、記憶に留める体験ツアー。爽快な潮風を浴びながら自然が作った対馬の絶景を鑑賞!

漁業は魚介を相手にするだけが仕事ではない、漁師が「語る」漁業、漁師が「見せる」漁業も漁業なんだ。というコンセプトのもとに生まれた、体験ツアーです。

詳しい取り組み内容

このツアーでは、漁船に乗り、丸徳水産が普段から取り組んでいる養殖魚の餌やりや、他の漁業者さんが養殖しているクロマグロの餌やりを体験できるほか、水中メガネで磯焼けの現場を見たり、近年問題になっている海岸漂着ゴミの現状を見ることができます。

選考のポイント

 「獲る漁業」から「見せる漁業」へというキャッチフレーズは多様化のわくわく感が印象付けられ、島の生き残り策としても 有効な点を評価した。

 

漁業の現在・過去・未来や海の問題だけでなく、環境問題や地域のことも楽しみながら知って もらえることができる点が素晴らしい。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

どの取り組みも、もともと地域にある資源を、魅力ある宝物に変えていくような、そんな素晴らしい取り組みだと感じました。

児童・生徒にとっても、学びや気づきが多い内容ばかりですね!

最後までお読みいただきありがとうございました。