【3分で読める】2025年2月発行の「修学旅行の実施状況調査」をまとめました★ by(公財)全国修学旅行研究協会

公益財団法人全国修学旅行研究協会では、毎年「関東地区」「東海地区」「近畿地区」3つのエリア公立中学校を対象に、修学旅行の実施状況調査を実施されています。

本記事では、2025年2月に発行された「2024年(令和6年)度 修学旅行の実施状況調査」を、たった3分で読めるように要約!

When(いつ)、Where(どこで)、How much(いくらで)の、大きな3つの項目に分けて【2W1H】で修学旅行の実施状況調査をまとめましたので、是非最後までご覧ください♪

★参照元:調査・研究報告|修学旅行ドットコム (shugakuryoko.com)

【速報】今後の修学旅行のあり方に関する調査まとめ│教育旅行年報データブック2024(日本修学旅行協会発行)より

回答状況について

▼調査時期:(2024年/令和6年)7月~(2024年/令和6年)12月

▼調査対象:以下3つの地区の公立中学校

関東東海近畿合計
調査校数1,2906241,1443,058
回答校数1,2906241,1023,016
回答率(%)100.0100.096.398.6
集計対象校数1,2906241,1023,016

本調査は、本年2025年に17年目を迎えられ、毎年、回答を寄せてくれる学校数は約3,000校とのこと。

この学校数は、全国の公立中学校数の約3分の1にあたり、極めて信頼性の高い数値や内容が記載されているといえます。
また、回収率はここ数年、調査対象校の96%以上を維持しており、本年度においては98.6%を達成されました。

When(いつ)│実施時期 について

2023年5月8日に、新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行したことにより、2024年度の修学旅行は予定通り実施した学校がほぼ大勢を占め、中止した学校はほぼ0となりました。

本題の実施時期については、前年度(2023年/令和5年)と比較すると、春季~夏季(5~7月)の実施が減少し、秋季(9月~11月)の実施が増加しています。

▼その理由として、次の理由が挙げられます。

  • 熱中症対策として、猛暑の中での見学や体験を避けるため
  • ハイシーズン(春季)を避けることで、バスの確保を優先するため
  • 2024年1月1日に起きた「能登半島地震」の影響により、予定してた実施日が延期となったため


本調査の質問項目「修学旅行実施に当たっての意見」として、実施時期による熱中症対策の必要性や、ハイシーズンにおけるバス不足だけでなく、旅行会社の人手不足による連携についての課題点が挙げられました。

Where(どこで)│実施方面について

実施方面については、コロナ禍前の行先に戻った感が強いものの、前年度(2023年/令和5年)に変更した方面をそのまま継続している学校も多くみられました。

▼続いて、各エリアごとに実施方面の前年度比較をみていきたいと思います。

関東エリア5県(茨城・栃木・群馬・埼玉・千葉)

関東エリアにおいては、前年度と比べても大きな変化はなく、やはり近畿方面への修学旅行が約9割を占めます。

▼「都道府県別宿泊地」の項目で宿泊先の内訳をみてみると…

  • 1位:京都府(95.5%)
  • 2位:奈良県(2.5%)
  • 3位:滋賀県(1.5%)
  • 4位:大阪府(0.5%

という結果でした。*()内の割合は1泊目と2泊目の合計の平均値

やはり圧倒的に京都への宿泊や、神社仏閣での見学・体験が人気であることが伺えます。

【修学旅行】京都でおすすめの体験学習施設12選|中学生にぴったりの体験施設をピックアップ

しかし、「修学旅行実施に当たっての意見」の中では、「オーバーツーリズム」に関する意見が多数寄せられました。

▼先生からの実際の声として、下記が挙げられました。

  • 訪日外国人観光客等の影響もあり、公共交通機関を利用しての移動が予定通りいかず、行程に支障をきたしている。
  • 特にUSJ・京都市内施設でのトラブル(混雑で予定時間内に見学できない)が多発している。
  • 旅行客の増加で、各所渋滞が起こり目的地に辿り着けない。新幹線への乗り遅れ等も考えられる。
  • インバウンド需要により、価格が高騰しているだけでなく、宿泊先の確保が困難になっている。 他、意見多数

2年以上前に行き先を決める修学旅行ですが、2年後の混み具合を予想することは不可能のため、今後は行先を変更することも視野に入れる必要があるかもしれません。

東海エリア3県(愛知・岐阜・三重)

*愛知県は名古屋市を除く

東海エリアを見てみると、前年度と比較して、関東方面の修学旅行が減り近畿方面が増えていることがわかります。

その理由について旅行会社の教育旅行担当者にお聞きしたところ、「東海エリアでは、小学校の修学旅行で関西に訪れることがほとんどであるものの、コロナ禍においては、中止や方面変更(近場での実施)を余儀なくされたため、小学生の時に関西に行けていなかった世代が、中学校で関西方面を選ぶところが増えたのではないか」とのことでした。

【関西編】学校の先生が選ぶ!他校へ紹介したい修学旅行の行先や取り組み6選│京都でおすすめの体験学習や班別行動の実例をご紹介

近畿エリア2府3県(大阪・兵庫・京都・滋賀・奈良)

近畿エリアでは、比較的近隣の東海方面・北陸方面の割合が減り、主に沖縄への修学旅行が大幅に増えました

また、関東方面も増えており、近隣から遠方へ、従来の修学旅行に戻そうという動きがみられます。

遠方への修学旅行は、飛行機や新幹線の利用が伴いますが、「修学旅行実施に当たっての意見」の中では、

近年頻繁にある集中豪雨による東海道新幹線のストップや遅延時の対応(食料、飲料水の確保、毛布配付など)

に関する課題点が挙げられていました。

また、他の先生の意見の中では、

「安·近·短」の修学旅行のニーズが高まっている。本校ではPTAと相談の上、1泊2日としたが、苦情は殆ど無い。

といった声も。「危機管理」の対策として、修学旅行の在り方に変化がでてきていることがわかります。

How much(いくらで)│旅行費用について

生徒1人あたりの旅行費用についてみてみると、言わずもがな、あらゆるものの値上がりにより、1人当たりの旅行費用は高騰しています。

次に、旅行費用に関係する項目ごとに、詳しく見ていきたいと思います。

生徒1人あたりの貸し切りバス代分布(校数)

▼各エリアごとの生徒1人あたりの貸し切りバス代の総平均額は、下記の通りになります。

  • 関東エリア:8,644円(前年度:8,006円)
  • 東海エリア:12,178円(前年度:10,779円)
  • 近畿エリア:11,140円(前年度:11,032円)

全エリア共通してバス代は高騰しており、生徒1人あたりの負担額に大きな影響を与えています。

「修学旅行実施に当たっての意見」の中でも、やはりバス代高騰に関する意見が多く見受けられます。

  • 費用の高騰にあたり、就学支援金の限度額も考慮すると、目的地や体験活動の範囲が限られてくる。
  • 物価や交通費の値上がりと修学旅行費上限額が釣り合っておらず、行き先やプログラムが限られてしまう。
  • ·経済的に行けない生徒が出てきてしまうことの解決策を国レベルで考えてほしい。(国や自治体による補助)

といった意見が挙げられました。

▼教育旅行情報サイト「タリフル」では、教育旅行に関する補助金の情報を各自治体ごとにまとめています!

【2025年度・最新版】令和7年度「教育旅行」に関する全国の助成金情報まとめ!

生徒1人あたりの宿泊費分布(校数)

▼各エリアごとの生徒1人あたりの宿泊費の総平均額は、下記の通りになります

  • 関東エリア:22,927円(前年度:22,516円)
  • 東海エリア:21,516円(前年度:21,401円)
  • 近畿エリア:19,804円(前年度:19,965円)

旅行費用の大部分を占める宿泊費ですが、いずれのエリアでも大きな変化は見られませんでした。

生徒1人あたりの体験費分布(校数)

▼各エリアごとの生徒1人あたりの体験費の総平均額は、下記の通りになります

  • 関東エリア:3,046円(前年度:2,191円)
  • 東海エリア:6,305円(前年度:5,153円)
  • 近畿エリア:6,916円(前年度:7,489円)

体験費用に関しては、各エリアごとに傾向が異なることが見受けられます。

◎関東エリアやはり京都での神社仏閣がメインであることから、体験費用が占める割合は比較的少ないものの、昨今の見学だけではなく体験活動も取り入れようという動きから、前年度と比較すると上昇してることが考えられます。

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◎東海エリア前年度と比較すると、1,000円以上の値上がりを見せています。

先ほどの実施方面の項目で、東海エリアでは関東から近畿方面への修学旅行が増えていることから、交通費が抑えられたことで、体験費用への予算が増えたことが考えられます。

充実した体験活動こそが、実りある修学旅行につながるのではないかと考えます。

◎近畿エリア 近畿エリアでは、逆に一人当たりの体験費用は減っていることがわかります。

これもやはり、実施方面が沖縄や関東といった遠方へ戻りつつあることから、交通費を占める割合が大きくなったことにより、体験費用にお金が使えなくなっていると考えます。

2024年(令和6年)度 修学旅行の実施状況調査のまとめ

いかがでしたでしょうか?

When(いつ)、Where(どこで)、How much(いくらで)の、大きな3つの項目に分けて【2W1H】で修学旅行の実施状況調査をまとめました♪

記事の中でも触れたように、修学旅行実施に当たっての意見として多く挙げられたのが、

  • 旅行費用の高騰
  • オーバーツーリズムの影響
  • 更に強まる危機管理要請

が主たるものとして挙げられました。

この調査における各数値や記述の内容を共有することで、修学旅行の現状とそれを取り巻く環境等を認識するとともに、生徒、保護者、学校、輸送·受入機関、旅行会社など、修学旅行の実施に欠くことの出来ない関係者間の相互理解をより深め、その協働により困難な状況をも乗り越えたいと考えます。

最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。