修学旅行で体験できる生業体験を紹介!
全国ほんもの体験ネットワークと連携した農業・漁業・伝統工芸など、地域の暮らしや文化に触れる教育旅行プログラムで、生徒の主体性と学びを深めます。
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修学旅行は「観光」から「体験・学び」へと進化しています。
8月19日に東京都内で日本修学旅行協会が開催した「第18回教育旅行シンポジウム」では、物価高騰による修学旅行費用の上昇が課題とされる一方で、修学旅行の教育的意義をどう高めるかが議論されました。
狛江市教育委員会(東京都)の亀澤信一専門員は、修学旅行の意義として「人と人との触れ合い」「主体性の育成」「将来への動機付け」を重視すべきと指摘。
🔗参考元:日本修学旅行協会、第18回シンポジウム開催 – 旅行新聞 – 株式会社旅行新聞新社
目次
「生業体験」とは?

そんな時代の中で、今あらためて注目したいのが「生業体験」。
「生業(なりわい)」とは、人々の暮らしを支える仕事や産業のこと。
生業体験では、地域で実際に営まれている農業、漁業、商店、伝統工芸などの現場に生徒が入り込み、生活や仕事をリアルに体験します。
▼例えば…
- 農業体験:畑での収穫や調理を通じて、食と命のつながりを学ぶ
- 漁業体験:漁に出ることで、海洋資源や環境問題を実感する
- 伝統工芸:職人の手仕事を体験し、文化継承の大切さに触れる
観光地を巡るだけでは得られない、地域の「人」と「暮らし」に深く関わる学びがここにあります。
地域の文化や産業を実際に体験する「生業体験」は、まさに次代の修学旅行に求められる要素を備えているといえます。
生業体験のプロフェッショナル!「全国ほんもの体験ネットワーク」とは?

全国ほんもの体験ネットワークは、農業・漁業・林業・伝統工芸など、地域に根ざした“生業”をそのまま子どもたちに伝える「ほんもの体験」を大切にしています。
単なる観光や見学ではなく、地域の人々の暮らしや働き方に触れることで、教育的な効果と安全性を兼ね備えた質の高いプログラムを提供することを目的に、2003年に設立されました。
これまでに全国で数万件の体験を実施し、数十万人の子どもたちが地域と出会う機会を創出してきました。
さらに、全国教育民泊協会とも連携し、農山漁村での生活体験(教育民泊)を通して、生徒の学びをより深める取り組みを広げています。
🔗 詳しくはこちら:https://honmono-taiken.com/
全国で「ほんもの体験」が実施できる仕組み

全国ほんもの体験ネットワークでは、地域ごとに加盟する団体や民泊受入先、体験プログラム提供者と密接に連携しています。
この全国規模のネットワークにより、整備された安全・教育管理体制を活かしながら、全国各地で体験プログラムを提供できるのです。
- 加盟団体との連携
地域ごとの受入体制や体験プログラムを管理する加盟団体と、情報交換や研修を通じて標準化された仕組みを構築。これにより、どの地域でも一定の教育効果と安全性を担保できます。 - 地域ネットワークを活かしたコーディネート
学校や旅行会社は、ネットワークを通して希望する地域・プログラムを選択でき、全国規模での教育旅行の企画が可能です。 - 実績と信頼
2003年の設立以来、全国で数万件のプログラムを実施、数十万人の子どもたちに体験の場を提供してきた実績が、全国展開を支えています。
地域と生徒をつなぐ「ほんもの体験プログラム」について

全国ほんもの体験ネットワークでは、地域の生業や暮らしを直接体験できる多彩なプログラムを提供しています。
これらの体験は、単なる観光ではなく、生徒一人ひとりの学びと成長を促す「生業体験」として、教育旅行に最適です。
▼主な体験プログラム
- 民泊・ホームステイ:農林漁家に宿泊し、地域の生活を体験。食事作りや農作業など、日常の中で地域の人々と交流します。
- 自然・アウトドア体験:山や川、海などの自然環境で、フィールドワークやキャンプ、自然観察を通じて、自然とのつながりを学びます。
- 味覚体験・食文化:地元の食材を使った料理体験や、伝統的な食文化を学ぶことで、食への理解と感謝の気持ちを育みます。
- 農林業体験:農作業や林業の現場で、作物の育成や収穫、森林の管理などを実際に体験し、食と環境への理解を深めます。
- 漁業体験:漁業の現場で、漁法や魚の種類、漁獲の過程を学び、海の恵みとその大切さを実感します。
- 伝統工芸・クラフト創造:地域の伝統工芸や手作り体験を通じて、ものづくりの楽しさと文化の継承を学びます。
- 震災防災学習・環境学習:震災の経験を通じて、防災意識を高め、環境保護の重要性を学びます。
- 歴史・文化体験:地域の歴史や文化を学び、伝統行事や遺跡巡りを通じて、地域への理解を深めます。
- SDGs・社会貢献:持続可能な開発目標(SDGs)に関連した活動を通じて、社会貢献の意識を育みます。
地域別│全国ほんもの体験ネットワークでの体験内容をご紹介!

福島県│南会津町・「ほんもの体験プログラム」
南会津町では、自然と共に生きる人々の暮らしや知恵が今も息づいています。
畑や山での作業、食卓を彩る郷土料理、雪国ならではの知恵や文化など、そこで暮らす人々にとっては日常の営み。
それを訪れる人が共に体験することで、地域に根ざした暮らしの奥深さに触れることができます。
▼主な体験プログラム
- 郷土料理作り体験:はっとうやしんごろうなど、南会津ならではの郷土料理を地元のおばちゃんから教わりながら作ります。
- 藍染体験:奥会津博物館に移築された茅葺きの染屋で、世界に一つだけの模様を染め上げます。
- かんじきウォーク:昔ながらの和かんじきを履いて雪原を歩き、動物の足跡や木々の話を聞きながら雪国を体験します。

長野県│南信州・ほんもの体験プログラム
南信州では、地域に暮らす人々がインストラクターとなり、訪れる人を日々の生産や暮らしの現場に受け入れています。
農業や生活の中で培ってきた技術や経験をそのまま伝えることこそが「ほんもの体験」という理念のもと、20年以上にわたり地域の人々が継続的に取り組んできました。
こうした活動は海外からも評価され、2017年には農家民泊が「クールジャパンアワード」を受賞しています。
▼主な体験プログラム
- ラフティング:天龍川を約8km、ゴムボートで力を合わせて下ります。急流と清流を繰り返しながら進み、水しぶきを浴びつつ仲間との一体感と爽快感を味わえます。
- 五平餅作り:南信州を代表する郷土食「五平餅」を地元のご婦人たちと一緒に作ります。伊那谷ののどかな雰囲気の中で地元の人々との交流も楽しめます。
- 乗馬:馬との接し方を学び、馬場で基礎を練習したあと林間コースを外乗トレッキング。馬の手入れについても体験しながら学びます。

滋賀県│甲賀市・ほんもの体験プログラム
滋賀県甲賀市は、古くから忍者の里として知られる地域です。
忍者は農業を営みながら日常生活の中で「心・技・体」を磨いてきました。
その背景には、農村での暮らしや自然の恵みを生かした知恵が根付いており、今日まで受け継がれています。
甲賀では、忍者文化に触れつつ、農業や伝統工芸、薬草文化など、地域の人々の生業に基づいた多彩な体験が用意されています。
▼主な体験プログラム
- 信楽で陶芸体験:日本六古窯のひとつである信楽焼を実際に体験。中世から続く伝統を感じながら、自分だけの作品づくりが楽しめます。
- 薬作り体験:薬草の栽培や加工が盛んな甲賀ならではの体験。かつて忍者が薬草を用いて生薬を作っていた歴史を学べます。
- 農家で玉ねぎ剪定:農家の方に教わりながら、玉ねぎの収穫や剪定に挑戦。美味しい玉ねぎを見分けるコツも伝授してもらえます。

まとめ:「生業体験」が育む生徒の生きる力
いかがでしたでしょうか。
生業体験は地域の産業や暮らしに触れることで、自然や人とのつながりを実感し、感謝の心を育みます。
地域の人々との交流から多様な価値観を学び、主体性や挑戦心を培うことも可能です。
また、伝統や文化に触れることで自分のルーツを理解し誇りを持つきっかけとなります。
こうした体験は、現代の修学旅行における「生きる力」を育む重要な学びとなるでしょう。