【滋賀編】”SDGs”の観点からみる「伝統工芸品」のモノづくり体験

前々回から取り上げている“産業観光”を語る上で外せないのが「伝統工芸」
その地に伝わる文化を学ぶことができる貴重な地域資源の1つですが、生活様式の変化による外国製品との競争、そして“将来に向けた後継者の育成”が現代において課題となっています。

学生の間に伝統工芸に触れることで、地場産業に関わりたいというモノづくりへの想いや、キャリアについて考えるきっかけになれば、貴重な地域資源を”持続可能”なものにするための「後継者」が育っていくことにつながると考えます。

そこで今回は・・・ただ単に伝統工芸品の体験施設をご紹介するのではなく
「2030SDGsゲーム公認ファシリテーター」の資格をもつ私の“SDGs的観点”から、
“滋賀でできる伝統工芸品のものづくり体験”をご紹介したいと思います!^^♪

1.信楽焼

長い間、時代の変化に合わせながら私たちの暮らしと、滋賀県の地場産業を支えてきました。
信楽焼の中でも特に有名なのが、関西ではお店の前でよくみる「たぬきの置物」。
2019年には、朝ドラ「スカーレット」で信楽焼が取り上げられたことも記憶に新しいです。

【SDGsポイント★目標5:ジェンダー平等を実現しよう】

一見、関係のないように思えますが、朝ドラ「スカーレット」のあらすじに通ずるものがあります。
<あらすじ>
主人公の喜美子は、中学校を卒業後、「丸熊陶業」という信楽焼の会社で働く予定でした。
しか、し卒業目前に「丸熊陶業」から男社会を理由に内定を取り消され、あきらめて違うところへ就職することになってしまいました。
「信楽焼」への想いを諦めきれずに学校へ通って弟子入りし、勉学に励んだ結果、見事女性陶芸家として有名になるというお話しなんです。

信楽焼を通して、そのモノ事態の歴史だけではなく、
昔は男社会だからと就職できない状況があったことや、性別など関係なしに努力で夢をかなえた職人の姿なども併せて学ぶことができます。

◇体験場所:体験する! | 信楽陶苑たぬき村 (tanukimura.com)

 

2.水茎焼き

万葉集にも詠われ、琵琶湖畔の景勝の地にちなんで創始した近江八幡発祥の焼き物。
焼くと琵琶湖のような綺麗な青色に輝くのが特徴です。
 「気取った焼物でなく、気軽に使える日常雑器」。これが水茎焼の信条です。

【SDGsポイント★目標9: 産業と技術革新の基盤をつくろう】

焼き物とは・・・人類が一番初めに体験した化学変化だといわれています。
昔の人が、「粘土をこねて焼いたら固まるんじゃなかろうか?」と気づいたことで「鍋」が生まれました。
そしてその「鍋」から「煮る」という調理方法が生まれて食材の保存がきくようになり寿命が延びたんだとか。

過去の「みのり通信」で、水茎焼き陶芸の里のいまい様に取材に伺った際、「人間は生まれつきクリエイティブな生き物だ」と仰っていたのが印象的でした。

現在は100円ショップでも食器が買える時代ですが、その食器は基本大量生産。
昔の人が、「粘土をこねて焼いたら固まるんじゃなかろうか?」と気づいたように、自分の手で土をこねていると、いろんな「クリエイティブ」な発想が浮かんできて、また新たな発明が起き、今後の産業の基盤となるものを生み出すかもしれません。

◇体験場所:陶芸教室 | 水茎焼陶芸の里 (mizuguki.com)
 

3.ハワイリボンレイ

滋賀の伝統工芸品ではありませんが、BSCウォータースポーツセンターとHawaii Yacht Club(ハワイのヨットクラブ)のつながりの中で出会った、ハワイの伝統工芸品「ハワイリボンレイ」。

【SDGsポイント★14:海の豊かさを守ろう/15:陸の豊かさも守ろう】

ハワイのキャロル・ミト先生によって作り出されたリボンレイは、“生花を使用しない”リボンレイ。
先生は、レイの材料となるハワイの美しい花々が毎日摘み取られることを悲しく思い、「ハワイの美しい自然を守るために、自分に何かできること」を日々考えていた中で生まれました。

生活の中で感じた「疑問」に向き合い、自ら一歩踏み出すことで、何かがはじまり変わってゆく。
地方経済が疲弊する今こそ、地域の特性や資源を見つめることで 魅力ある生活環境の形成が進み、地域住民が誇りと愛着を持てる住みよい環境がつくられるのではないでしょうか。
私たちの生活の“何かを変えること”のすばらしさを、環境を思いやる気持ちと共に味わうことができます。

◇体験場所:KeikoCraftDesign(BSCウォータースポーツセンター) | 滋賀県観光情報 (biwako-visitors.jp)

・・・いかがでしたでしょうか?
伝統工芸の品を「自分の手でつくってみる」ことを通して、
そのモノのルーツを考えたり、背景を知ることこそ、「産業観光」の魅力を味わえると考えます。
是非、教育旅行での「伝統工芸体験」に、滋賀へお越しくださいませ^^♪